陸上競技の種目に、三段跳という種目があります。
実は、私たちの生活でよく耳にする「ホップ・ステップ・ジャンプ」は、三段跳の踏み切り方の呼び名からきています。
ちなみに、日本人がオリンピックで初めて金メダルを獲得したのが、この三段跳という競技だということを知っていましたか?
しかも、その後も3大会連続で金メダルを獲得するという輝かしい歴史を持っています。
そこで三段跳について詳しく紹介していきます。
三段跳とは?
三段跳びとは、陸上競技の中の飛躍競技の1つです。
助走を付けて、踏み切り板で踏み込む 1歩目のホップ、 2歩目のステップ、 3歩目のジャンプで大きく飛んで着地。踏切板から着地点までの距離を競う競技です。
走り幅跳びのように助走+ジャンプ1回に力を出し切るわけではなく、ホップ・ステップ・ジャンプそれぞれの踏み込み方が難しいのが特徴。
そのため、初級中級者に比べて上級者・プロのレベル差が大きいのも三段跳の特徴の1つとも言えます。
三段跳の飛び方(ルール)
三段跳は上記でも説明した通り、助走を付けて踏み切り板を目印に 「ホップ・ステップ・ジャンプ」と飛びます。
ホップの踏み切りは、板の手前でも板の上でも問題はありません。ただし、踏み切り板の進行方向側に少しでも足がはみ出てしまうと記録は無効となります。
三段跳の記録は、 踏み切り板から着地点までの距離をはかりますが、3回飛んだうち1番遠くへ飛べた距離が記録として残ります。
ホップ・ステップ・ジャンプの足使いにも細かいルールがあります。
まずホップとステップの足が同じ足でなくてはいけません。例えば踏み切り台(ホップ)を右足で踏んだ場合、2歩目(ステップ)も右足。左足で踏み込んだ場合は、2歩目も左足と決められています。
違う足を付いてしまった場合は、記録は無効となります。
飛距離の記録は、踏み切り板に最も近い痕跡位置が使われます。着地時に尻もちを付いた、倒れて背中を付いたとしても、その痕跡の踏み切り板に近い位置を基準が基準となります。
着地した砂場から出る際は、踏み切り板とは反対方向から出るというルールも決められています。
競技が行われるフィールドは、レベルによって多少異なります。
国内外の主要な大会では、踏み切り板から砂場までの距離は男子13m、女子10m。
高校生の大会では、男子が11m、女子7mとなっています。
踏み切り板の幅は30㎝、砂場の幅は2.75~3m、長さが8mとなっています。
三段跳の世界記録と日本記録は?
三段跳競技は、レベルによって記録が大きく異なります。
世界トップレベル・日本のトップレベルでは、どのくらいの記録が残されているのでしょうか。
記録と記録保持者を紹介していきます。動画も参考にしてください。
世界記録
現在の三段跳の 世界記録は18.29m。
記録保持者は、イギリス・ウィンザー出身のJonathan EDWARDS(ジョナサン・エドワーズ)さんです。
ジョナサン・エドワーズさんが世界記録を樹立したのは1995年のヨーロッパ陸上選手権大会優勝時の17.98mが最初。
同年の世界陸上大会の1回目の跳躍で18.16mをマークし世界記録更新。2回目の跳躍で18.29mを飛んでさらに記録を更新し、現在まで破られることなく世界記録として残されています。
2000年にシドニーオリンピック優勝、2002年にコモンウェルスゲームズ優勝を果たしたことで4大会制覇達成。
しかも、すべて金メダルで締めくくるという輝かしい記録を残した人です。
数々の功績を残し、2003年に引退しています。
日本記録
現在の三段跳の 日本記録は17.15m。
記録保持者は、三重県出身の山下訓史さんです。
山下訓史さんが三段跳の日本記録を樹立したのは、1986年の日本選手権。30年以上経った現在も破られてない記録です。
高校生の頃から素質は開花しており、インターハイでは高校2年生で15.49mをマークして堂々の優勝。大学時代にもインターハイで二連覇を成し遂げています。
そして、日本電気に所属し日本記録を樹立するに至ります。
実は三段跳の公認記録で17m以上をマークしたのは、山下さん含め日本人では2人のみ。日本人にとって17mはなかなか超えられない壁となっています。
三段跳で記録を出す3つのコツ
どの競技でも言えることですが、練習や試合経験を積めば積むほど上達し、身体の成長とともに能力や競技記録は伸びていきます。
もちろん三段跳にも当てはまる点はありますが、ただがむしゃらにこなすだけでは記録が伸びないところが三段跳の難しいところです。
ではどのように三段跳の記録を伸ばすのかというと、ポイントは3つ。
1.助走スピードとジャンプのバランス
2.つま先の上向きを意識する
3.ジャンプ時の腕の使い方
以上3点を中心に練習方法を見直して、記録更新につなげましょう。
では順にコツを詳しく紹介していきます。
①助走スピードとジャンプのバランス
三段跳の記録を伸ばす1つ目のポイントは、「助走スピードとジャンプのバランスを整える」こと。
三段跳ではスピードが早ければ早いほど遠くに飛べるわけではありません。
スピードを飛ぶ力に活かせる助走ができるかどうかが重要です。
そのため、助走に100%の力を注がないよう注意し、効率よくジャンプの力につなげれるスピードを見つけましょう。
助走スピードとジャンプのバランスを整える工程では、以下のような点にも注意してみてください。
助走のスタートは加速しなくてはいけないので、体勢は若干前のめりでもOK。走り出しの6~8歩は加速に力を注ぎ、スピードにのりましょう。
スピードが出た後は上体を起こし、腰の位置を高く維持。上半身がブレないよう気を付けます。
踏み切り板の位置を気にして視線が下がらないようにすることにも注意したいですね。
また、助走のスピードを殺さないようにするためには、1回目のジャンプの角度にも気を付けなければいけません。
上に向かって飛ぶと、せっかく乗ってきたスピードが上へ逃げてしまい、勢いが衰えてしまいます。
助走スピードが活きるベストな角度を見つけ、次のステップ・ジャンプまでスピードの勢いをつなげましょう。
助走だけ、ジャンプだけでなく、全体的なバランスを見直してみましょう。
②つま先の上向きを意識する
三段跳の記録を伸ばす2つ目のポイントは、「つま先の上向きを意識する」こと。
ジャンプ時の足首がL字になっているか、つま先が上を向いているかフォームを再確認しましょう。
ジャンプだけでなく走る際にも言えることですが、地面をつま先で蹴ったあとは自然とつま先は下を向く形になります。
もちろん次の1歩に向けてつま先は上向きになりますが、自然な反応に任せるのではなく意識してつま先を素早く上向きにするのが重要なポイントです。
というのも、つま先を意識して上向きにすることでリードレッグも意識され、高く引き上げることができるのです。
また、着地の足も安定するので次のジャンプへの力の伝達もスムーズ。飛距離を伸ばすことができるでしょう。
さらに、つま先を上向きにするのと同時に意識したいのが、身体の軸をまっすぐにすること。
体重が前にかかりすぎる、後ろにかかりすぎると次のステップへのスピードや力が失われてしまいます。
身体がブレないために、力のかけ方やジャンプのリズムにも気を配りたいですね。
ちなみにホップ・ステップ・ジャンプの力量配分は 35%・30%・35%が理想です。
現に世界記録保持者のジャンプを見てみると、6.05m・5.22m・7.02mで、33%・29%・38%となっています。
何も考えず自然体で飛んだ状態で、割合のとれたバランスのいいジャンプができるように練習を繰り返しましょう。
③ジャンプの時の腕の使い方
3つ目のポイントは、「ジャンプの時の腕使い」です。
三段跳競技において動力を生み出せるのは、踏み切り板までの助走と足、そして腕です。
腕を上手く使うことによって身体のバランスが保たれ、身体のバネも動力に加えることが可能。助走後の跳躍力をパワーアップさせることができます。
ちなみに三段跳では、シングルアームとダブルアーム、2つを組み合わせてシングルダブルという3種類のアームアクションが使えます。
シングルアームが一番自然体な動きですが、ダブルアームにすることで生まれるパワーもあります。マスターするのは難しいですが、記録を伸ばす戦略として挑戦してみると良いでしょう。
ただし、どれが一番良いフォームという決まりはありません。自分が一番飛びやすい腕の振り方を見つけていきましょう。
全ての腕振りで共通して言えるポイントは、ただ力強く振るだけではいけないということ。
三段跳では、いかにタイミングよく振り込むかが重要なポイントとなってきます。
腕を振る動作のポイントは、着地と同時に後ろから前に力を入れて振り込むこと。タイミングが合えば足にも力が入りやすく、腕の振りと身体のバネで推進力を効果的に生み出すことができます。
ジャンプで身体が最高到達点に来た時は、腕の動きをグッととめて身体から力が逃げないよう意識しましょう。
記録が伸びないときは、腕の振り方も再チェック。アームアクションの変更もいいきっかけになるかもしれませんね。
三段跳日本一の山本凌雅選手に聞いた!
この記事の監修者である三段跳日本一の山本凌雅選手に三段跳の魅力や普段どんな練習をしているか?、練習時に愛用しているスパイクなどを質問させていただき答えてもらいました!三段跳をもっと飛べるようになりたい、もっと知りたいという方にはきっと参考になることが多いと思います!
質問① 三段跳の魅力とは?

「人間離れしている動き」ですかね。同じ砂場競技の走幅跳と比べると、2倍以上の距離を跳ぶという事で、見たこともない距離を自らの力だけで跳ぶという、同じ人間じゃないと思えるような凄さがあると思います。また、三段跳は連続したジャンプという事で身体に掛かる負荷も凄いです。一般的にですが、14倍〜20倍とも言われています。この中で遠くに跳ばなければいけないという事は、足の速さ・跳躍力・身体の使い方の三つを完璧にしなければ17mや18mの距離を跳ぶことは出来ないと思います。 この極めた技を陸上競技場で見たときの感動を是非体感してしていただきたいです。
質問② 普段はどんな練習を?

大まかで構わないので、普段どんなトレーニングをしているか教えていただきたいです!
質問③ 山本選手が愛用するスパイクは?

愛用しているスパイクとスパイクの良い点を教えていただきたいです!
まとめ
三段跳は「助走+ホップ・ステップ・ジャンプ」と、力を分散しつつ最後に最大限の力を出すという、かなり高い身体能力が必要な競技ですよね。
助走とジャンプのバランスや足や腕の使い方を極めることも大切ですが、筋力・体幹トレーニングも併せて行うとより一層レベルアップがはかれるでしょう。
なかなか難しい競技程、目標を達成できた時の喜びもひとしおだと思います。コツをつかんでベスト記録を更新して行きたいですね。
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